You're my only star!



サスケが帰ってきた。
大きく作り直した窓から、サスケと鷹チームの3人が
大門を通って入ってくるのが見えた。
サスケを認識した途端、ナルトは居ても立ってもいられなくなってしまった。

仕事なんかやってられるか!
サスケに今すぐ会いたい。会って触れたい。

ナルトは我慢できずに執務室から降り立った。
いつものことだ。
任務で里を離れる事は何度もあったし、
その度ちゃんと戻ってきてくれる事も知っている。
それでも今だにどこか不安なのだ。
だから火影になったら、窓をもっと大きくして彼が帰ってくるのを
少しでも早く見つけたいと願った。
そして、いち早く見つけた。

駆け出してサスケに抱き付いてたら、
サスケはため息を付くだけで少しも抵抗しなかった。
こんなことまで許してもらっている。
嬉しくなって、ナルトはサスケを抱き締めた腕にきゅっと力を入れた。
サスケの後ろで不満そうな顔で自分をみつめている
6個の瞳には最早気にしないことにしている。

羨ましいだろ?でも、譲らないってばよ!

ナルトがサスケに気付かれないように、
鷹チームの3人に向かって自信満々に笑って見せた。

* * *

…どうしてこいつがここにいるんだよ。

里の大門の前、真昼の大通りでナルトに抱き付かれたまま
サスケは思わず深くため息を吐いた。
まるでご主人様の帰りを待つ犬のような目をして
他人の視線なんか気にもせず抱き付いてくるナルトと言うのはいつもの事だけど、
今回だけは状況が非常にまずかったのだ。
よりによってあの発言の後だ。
後ろで呆然と立っている水月や香燐や重吾がどんな表情をしているのか、
サスケは見なくても分かる気がした。

「…大したスーパースターだね、サスケ」

覚悟はしていたけど、水月のこの嫌味はちょっと精神に堪える。
サスケは知らんぷりを決め込んだ。

「…スーパースター?」

なのに、その言葉にナルトが反応した。

「スーパースターって誰の事?」

「知らなかった?少なくともサスケにとって君はスーパースターらしいよ?」

「ええ?初耳だってばよ!サスケ、そうなの?」

「そうだよ。サスケ、もっと嬉しがったらどう?君のスーパースターがファンの為
自らお迎えにきてくれたじゃん」

水月の嫌味は日々鰻登りのような発展をみせている。
チッと軽く舌打ちをした後、サスケが不機嫌そうに言い放った。

「任務結果の報告をしてくる。離せ、このウスラトンカチ」

「ここで言ってもいいじゃんかよ。それより、スーパースターって本当?」

答えを聞くまでは離してくれないといわんばかりのナルトに
サスケはまたしてもため息を吐くしかなかった。
迂闊だった。
言うんじゃなかった。
ナルトが火影となった事が嬉しくて、
つい気が大きくなったのがいけなかった。

「…お前、仕事は?」

「いきなり話を変えるんじゃねぇってばよ。答えろよ、サスケ」

「仕事が先だ。後でゆっくり付き合ってやるから今は離せ」

「……そう言ってまた逃げるつもりだろ?」

「どこへも逃げねぇ。今夜…行く、から…」

「え?マジ?!やったー!オレ、超頑張るぞー!!」

嬉々としてナルトが持ち場に戻るのを見送ってから、
サスケはキッと音が出そうな視線で水月を睨んだ。

「…水月、テメー…」

「だって、悔しいじゃん?
君にとってあいつはスーパースターでボクらは何?」

「そうよ、それに今夜行くって…
サスケ、ウチらとは打ち上げも一緒にする気もなかったのか?」

不満そうな水月と香燐の言葉にサスケは返す言葉がなかった。
じどろもどろしていると、今まで大人しく黙っていた重吾がおすおすと口を開いた。

「サスケ、お前にとってあいつがスーパースターであるように
オレらにとってはお前がスーパースターなんだ。それを分かって欲しい」

「…つまり、たまにはファンサービスでもやれというのか?」

「そういうこと!よくわかってんじゃん〜!」

「…わかった。報告が済んだら夜まではお前らに付き合う。それでいいだろう?」

「うんうん、帰ってきた途端いつもサスケを取り上げられる悔しさを
今日は今までの分も纏めて晴らせてもらうからな!」

香燐の嬉しそうな顔にサスケはくすっと笑ってしまった。
自ら自分の未来を作って見せたナルトがサスケには眩しいスーパースターに見えたけど、
香燐や水月、重吾には自分が選んだ道を一所懸命に進んでいくサスケが眩しく見えたのだ。

人は必ず誰かのスーパースターになれる。
何だかくすぐったい気持ちで、サスケは3人に囲まれてゆっくりと歩き出した。                      




end




『Everyday I Miss You』のAsurabi様の書かれた素敵小説をgetです!
このお話は、私の描いたマンガの続きを書いて下さったものなのです。
鷹チームの飲み会!すっごく見てみたいですね!!サスケ・・・愛されてるなぁーーー!
ナルトの強気さも素敵で、ほんとに嬉しいです!ありがとうございますーー!