ペルセウス



「オレの前で自分のものみてーに
サスケの名を口にすんじゃねーってばよ!!」

本気だった。
サスケはオレのものだ。
オレは何があっても、たとえサスケが嫌がるとしても
彼をこの手に取り戻すと決めたんだ。

サスケの名につい暴走してしまって九尾化となって
やっと気が付いた時には既に全てが終わっていた。
任務は失敗。でも、手掛りはまだ残っていた。
裏切ったサイを追う。
その先には必ずサスケがいるはずだから。

その夜も野営する事になった。
体力回復の為にはゆっくり眠らなきゃ駄目なのに、
なぜか眠れなかった。
星が綺麗だったからだ。
そう思い込む事にした。

諦めろと、誰もが言った。
師匠さえも、オレにサスケを諦めるように何度も言い聞かせていた。
長い人生だ。
時には諦める方が良い事だってある。
師匠は、本気で頑張ったと言った。
何度も親友に手を伸ばして、戻って来いと説得して、
その度に拒絶され続け、結局は諦めざるを得なかったと言いながら
ため息と共に苦笑した。
最後まで親友の事を何も分かってあげられなかったと、
それが残念だと言った師匠の後悔に満ちた苦しそうな笑顔を
オレも浮かぶようになるのは死んでもごめんだ。
オレは諦めないぞ。
忘れるものか!

昔、と言ってもたったの3年前だけど、
星が綺麗だったあの夜の事を思い出す。
任務の途中に野営する事はしばしばあったから、
野営自体はあまり珍しい事ではなかった。
でも、あの夜は星が綺麗だったんだ。
すごく、綺麗だったんだ。
隣で眠っているサスケの深淵の黒い瞳のような夜空に
所狭くぴっしり埋まって輝いてる星達が綺麗で、見惚れてしまった。
アカデミーの授業で習った星座の事を思い出しながら
独り言を呟いていたら、いきなりサスケの声が横切った。

「北斗七星、アンドロメダ、カシオペア…」

それくらい、オレも知ってるっつーの!
何気ない会話が嬉しかった。
だから、この先何年が経っても、何十年が経っても
あの時サスケと話した事を忘れないと、
何があっても、死んでも忘れないと思った。
カカシ先生とサクラちゃんと、そしてサスケと一緒にいて
見上げたあの綺麗な星空を絶対、忘れやしないと思った。
いつでも一緒に夜空で輝く小さな光達を見上げながら
オレを小ばかにするあの呆れたような声をずっと聞けると思っていた。
オレの話にぶっきら棒な様子で、それでもちゃんと付き合ってくれる
サスケを横でチラ見して、暗い闇の中でも白く輝いて見える
あの綺麗な顔にドキッとしてしまった。
照れた自分が恥ずかしくて、わざとはしゃぎながら星を見上げるオレの隣で、
サスケは星なんか関心ないように焚き火だけを見つめていた。
どんなに星が多くても、オレの隣の彼から感じる暖かい光に
勝るものはないとは、恥ずかしくて言えなかった。

あの頃にもう一度戻りたい。
あの時、あの感情を素直に告白していたら
俺らの前には今とは違う現在が待っていたのであろうか。

朝になったら、もう少しだけ彼に近付ける。
今度こそ、ちゃんと話そう。
お前がオレにとって一番大切な光そのものだと。
もう一度、一緒に夜空を見上げて星達を語ろう。
そしたら、オレは言うから。
忘れやしないあの夜の事を。
お前からもらった光のお陰で今まで生きて来れた事を。

生贄に捧げられたお姫様を救い出す神話の中の勇者には
なれないかもしれないけど。

…好きです。
どうか、オレと一緒に未来を歩いていただけませんか?





end




『Everyday I Miss You』のAsurabi様が、私の描いた意味不明漫画の
続きを書いて下さいました!!わーーーありがとうございます!
私の描いた漫画は、「アンドロメダ」で、サスケのお話だったのですが、Asurabi様はナルトサイドの話
を書いて下さいました。感謝感激です!本当に、ありがとうございます!!