ヒメハジメ



「なぁ、なぁ、サスケ、『ヒメハジメ』って何だってばよ?」

けほけほ、飲んでいた水が変な所に入ってしまって、サスケは暫く咳を止められなかった。
新年初日からいきなりなんて事を言い出すんだ、このウスラトンカチは!

「なぜオレに聞く?!」

「いや、何となく。サスケ、難しい言葉はよく知ってたし・・」

「そ、そんなの知るか!どこで聞いてきた、あんな言葉!」

「うん?昨日忘年会あったじゃん。
カカシ先生が『ヒメハジメ』はいつやるのかと聞いてきてよ、
それが何なのか逆に聞いたらはぐらかせてしまって、結局何なのかわかんなくて・・
・・サスケもわかんないの?」

分かってはいるけど、言えるか!
言ったら、やりたいと駄々を捏ねるに決まってる。
元旦からそんな事できるか!
サスケは心の中で毒ついた。
いくら二人が付き合ってる事はみんなに知られていたとしても、
こんな露骨な探索はプライバシー侵害だ。セクハラだ。
冷蔵庫の中に水が入ったペットボトルをしまいながら
明日でもカカシに会って締めとくべきかと考えていたら、
ナルトがゆっくりと立ち上がってキッチンに入ってきた。

「・・・何だ?水なら持ってくよ。」

「サスケが分かんないと言ったから、教えてあげるってばよ。」

「は?」

「オレ、実は昨夜のうちに調べたってば。『ヒメハジメ』の事。」

ナルトの青い瞳の中でゆらゆらと欲情の炎が燃え始めている事に気付いて
しまったと思っても後の祭りだ。
最初から全部分かってて鎌をかけてきたのだ、こいつは!
そういえば、今年の年末は平年より遥に忙しくて軽く1ヶ月はやっていない。

「・・そ、そう?じゃ、教えてよ。」

時間稼ぎだ。サスケはあくまでも知らんぶりを決め込んだ。

「へえ、サスケが素直に教えてと言うの、久しぶりだってば。
でも、これは言葉でいうより、実演した方が分かりやすいってばよ。」

だから、元旦からセックスで一年を始めたくはないんだよと心の中で叫びながら
サスケはじりじりと迫ってくるナルトに何とか説得を試みた。

「実演って何だよ。今教えてくれなくても自分で調べるからもういい。
そば持って行くから先に戻ってろ。」

「いや、サスケがわかんなくてオレは分かる事って滅多に無いじゃん。
ぜひ教えて差し上げたい所だってば。」

「要らねぇ!わかってるし・・・って、しまっ・・・!!」

つい口が滑った。ナルトの勝ったといわんばかりの笑顔がムカつく。

「へえ〜実はわかってたんだ〜〜なのにウソをついたんだよな?」

事実なので、何とも言い返せない。
サスケが珍しく言葉に困っていたら、ナルトがにやりと笑った。

「ウソツキにはお仕置きだってば。サスケ、罰で今から『ヒメハジメ』やらせろよ。」

「は?!今?!ここで?!」

「うん、今すぐ。ここで。」

「嫌に決まってんだろう!元旦から発情してんじゃねぇ!もういい、てめー、帰れ!!」

「嫌だってばよ。1ヶ月もオレを放置したのはお前なんだよ。もう駄目。やらせろ。」

肩を掴まれて引き寄せられ、腰を密着させて欲望を訴えてくる。
ここまで来ると、ナルトを止められるのはどこを探してもありゃしない。
新年が始まって2時間しか経ってないぞ、とサスケは長いため息を吐いてから
無駄な抵抗を諦めてナルトの首に両腕を回してOKサインを送った。
そのサスケの承諾にナルトが瞳を輝かせながら嬉しそうに笑った。

「ヒメハジメ、頑張るってばよ!サスケ、今夜は覚悟しとけ!」

「お手柔らかに、と言っても無駄だろう。…勝手にしろ。」

「うん、愛してるってばよ。今年もよろしく!」

「…ああ、今年もせいぜい頑張ってろ。」

夢中になって欲情をぶつけて来るナルトに激しく揺さ振れながら
今年もこれじゃ身が持たないよなとサスケは一人苦笑した。
でも、決して嫌ではないのだ。
今年もこうやってナルトと一緒にいられて、むしろ嬉しいかもしれない。
そういえば『今年もよろしく』とまだ言ってない。
今言うのはなぜか癪だから明日言おう。

Happy new year!!
…今年もよろしく!





end




『Everyday I Miss You』のAsurabi様の書かれた、フリー配布の素敵小説をgetして来ました!
「強気ナルト大好き友の会・会員」(会員は私だけです)の私としましては、「やらせろ」なんて言ってサスケに強引に迫るナルトは大好物です!
ああ、かっこいいーーー!そして、いつものことですがナルトに流されてるサスケもかわいいーーー!
二人の仲はカカシ先生にも(多分、他のみんなにも)公認なのですね!ラブラブ★
Asurabi様、お正月から素敵なお話をありがとうございました!!